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【焙煎考察】焙煎時の熱伝導と熱圧について《プログレスレベル》

こんばんは。
珈琲の伝道師 向井務です。

マスター講座でちょっとお話になりましたので
公開メモしておきたいと思います。

珈琲のブレンドと焙煎について

珈琲生豆のブレンドのお話なのですが、
ブレンドを作るときにはざっくり、焙煎してから混ぜる方法と
焙煎する前に混ぜる方法があります。

それぞれプレミックスとアフターミックスと言ったりするのですが、
個人的にはプレミックスの方が、焙煎中に発生し得る物質のパターンが増えることが
理論的にも経験的にもわかっているため、面白いと感じております。

ただ、焼き分けによる香味の表現や、それぞれの段階での香味を生かしたい場合には
アフターミックスをオススメします、というかそうされていると思います。

で、今回お話に上がったのは、プレミックスって焼きづらいんじゃないですかというお話です。
生豆といっても、銘柄や育ちで大きくサイズや固さ、水分値も変わってきます。
火の浸透具合も様々なので綺麗に焼くのは至難の技なのではという予測です。

実際は、全くその通りで、非常に難しいといってもいいと思います。

プレミックスだけでなく、生豆に効率的に火を入れていくには?

焙煎の諸先輩方はご存知の通り、豆に熱を伝える方法には幾通りあり、
その中でも焙煎されている豆に効率的に熱量を与えるもの、
大きく取り沙汰されるのは、「熱圧」です。

私独自の考え方かもしれませんが、
熱圧は、空間の密閉性や、加熱する熱源そのものの影響(空気伝導熱、輻射熱など)が
非常に大きいもので、単純に言うと、熱量を浸透させる力を指しています。
これは単純に火力の強いバーナーの、いい焙煎機を選ぶということにも直結します。

ただし、熱源の影響も大きいのも考察すべき点で、
熱源として、ブンゼンバーナーのような一般的なものは単純に空気伝導熱による
加熱を主としているために、密閉性や吸排気速度による影響をもろに受けますが、
シュバンクバーナーや炭火などの、輻射熱を使った加熱は、通常、開口部があれば
空気の流れなどに関係なく、(主に水分に対して)加熱を行うことができます。

これだけ見ると、うちで使っている開放型焙煎機で、普通のバーナーで
小型の煎っ太郎では、大小入り混じったブレンドされた豆を
しっかり焼けるはずがないということになってしまいます。

小型焙煎機でもできる火の通し方のコツとは?

ここからが本題です。
開放型の小型焙煎機(普通のI型バーナー)では、
①火の通り方がまず外側から順に入っていく
②空気を閉じ込めていないので放熱が外気温と風量に影響する
という2点が大前提になります。

これだと、ブレンドの小さい豆を焼いている間に
大きな豆を焼くことはできませんし、
大きな豆が焼ける熱量に曝すと、
小さい豆が予定より深く焙煎されてしまいます。

ではどうするのか?

私は三つの方法と一つの方向性を同時に採用します。
①空気粘性を利用する
②釜と豆同士で起こる熱伝導を利用する
③余熱進行の時間差を利用する

①空気粘性を利用する

乾燥空気と水蒸気の割合と、水蒸気の温度による粘性変化を利用した方法です。
長くなりますし、マスター受講生の方はご存知なので割愛しますが、焙煎のある一定の時点で、
水蒸気が効率的に加熱を補佐してくれるタイミングがあります。これを利用します。

②釜と豆同士で起こる熱伝導を利用する

釜と豆同士で起こる熱伝導を利用する、そのままですが、
釜の温度と豆同士が撹拌される際に、それぞれの温度差が縮まるように熱が移動します。
このときに重要なのは、熱伝導を利用するための「待ち時間」と
熱伝導を促す「周辺温度」と熱伝導を行う「タイミング」です。

「待ち時間」は、慣れないうちは取りにくいのですが、
ある一定の時間を「待つ」ことで焙煎時の加熱のされ方の差は
確実に縮まります。おおよそですが、30秒ほどは必要かと思います。

「周辺温度」は、熱伝導が促される温度状態を作る必要があり、
低すぎても高すぎてもダメということです。
そしてもっとも重要なのは「タイミング」です。
熱伝導は当然の様に常に起こっています。
どこのタイミングで行えば一番効率がいいかというと
煎り止めのタイミング、釜からあげる直前です。

焙煎の最終段階では、水分量が少なくなり、比熱が下がっているため
温度のやりとりが効率的に行われます。
その分「周辺温度」が極端に高いと焙煎が進行し、
極端に低いと放熱による冷却が始まってしまいます。

「待ち時間」もある程度逆算して、タイミングを取らないと
焙煎が進みすぎたり、手前すぎたりしてしまいます。
慣れるまでは、焙煎釜容量の25%から30%くらいの体積の生豆を使用して
タイミングや待ち時間を測る猶予を取れる様に
多めの豆で焙煎を試して練習するといいと思います。

余熱進行の時間差を利用する

余熱によって大きな豆だけその熱容量で焙煎を進めることができます。
根本的には外部からの熱量が十分に加わっていないと、
微妙な調整はできませんので最後の微調整と考えてください。

☆3つの方向性に一貫して必要な方向性

上記の三つの方法を実践すると、非常に効率よく内部まで火を通すことができるのですが、
②、③については共通して、欠点があります。
それは、焙煎時間の長時間化による香味の消失です。
丁寧に焼けば焼くほど、その間に生まれた香味、特に軽い香り(揮発性油分)が
消えて無くなってしまいます。
ですので、背反する事項ではありますが、方向性としては、
できるだけ手短に芯まで火を通す、ということが重要になってきます。

まとめ

今回は、プレミックスを対象とした生豆に火をいかに効率よく通すかということでしたが、
正直なところ、スクリーン選別や乾燥具合で、水分値や大きさがまばらな単一銘柄も無数にあるので、
単一銘柄、プレミックスを問わずに、火の通り方が均一ではなさそうな生豆に対しては
一定の配慮をした上で、焙煎されると良いのでは、と思います。

焙煎としては、熱圧をしっかり確保できる焙煎機や火力源を用意してコントロールすることが
重要になってきますが、煎っ太郎の様な小型の開放型焙煎機でも手がないわけではありません。

自分の求める味、お客様の求める味のために、
自信を持って、焙煎を行える様になっていただければ幸いです。

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